アドバタイズドタイラント

2012/01/19 (木) ~ 2012/01/22 (日)

d-倉庫

出演

伊神忠聡、大重わたる(夜ふかしの会)、岡野康弘(Mrs.fictions)、小見美幸、川田智美、菊沢将憲、北川未来、清水穂奈美、時田光洋、松原一郎、三嶋義信、善積元

脚本・演出 作者本介

あらすじ、その4

 彼らは謝らなければならず、謝罪用の記者会見もセッティングされた。
 謝罪用の記者会見をセッティングする仕事、というのもあるのか、と、きびきび動くそれ用のスタッフを眺めて僕はぼんやり思っていた。
 パイプ椅子にすわり、あと1時間50分後に始まる会見を前にした彼らはどう反省し、何を語り、どう釈明するのだろう。僕もまた、謝らなければならない。何かを語らなくてはならない。謝罪しなければならない。確かにそれは、不謹慎のそしりは免れないものだろう、と今にしてみれば思う。あの災害がなければ、という言葉は何度もよぎっている。でも彼らの『作品』を、あえてあの災害以後、『広告』のモチーフにしようとプレゼンをしたのは僕だ。彼らを発掘したのも僕だ、という自負もある。誰も止めなかったし、セクションの皆も、苦笑いしながらも許容してくれていたはずだ。
 去年の夏は、海がなかった。
 海に関連するコマーシャルの企画は、昨年の三月のあの災害を契機に全て別のモチーフに変更された。去年のいまごろ、僕はその変更作業に忙殺されていたのを思い出す。去年の夏は、水着も浜辺も日差しもなかった。
 「海がなかったなあ」と独り言を言った。
 彼らは無言だった。「不謹慎」の「謝罪」を前に、大事に言葉をとっておいている様だった。パイプ椅子がきしむ。スーツの似合わない茶髪からはシャンプーか何かのいい匂いがする。20代前半の匂いだ。僕はもうすぐ29歳になる。でも僕の体はきっと30になる前に死ぬんだろうな。タバコ吸いすぎだし、酒で最近腹がやばいし目がもうずっとしみた感じで痛いし、なによりこの町は、あの時からとっくに汚染されてたっていうし。

(あらすじはこのほかに三つあります)

スタッフ

舞台美術:泉真
舞台監督:桜井健太郎
照明:南 星(Quintet☆MYNYT)
音響:田中亮大
演出助手:吉田麻美/ブルー玲(blu-01 produce)
Web:きだあやめ(elegirl label)
宣伝美術:サノアヤコ
プリンティング・ディレクター:青山功(リトルウイング)
制作:大矢文 
運営:塩田友克

協力
Mrs.fictions 夜ふかしの会 プロダクション・タンク